『さかしま』を折る

デカダンス文学の傑作。主人公デ・エッサントの退廃的で耽美的な世界観を描いた、19世紀フランス文学の名作。

本の表紙

さかしま

J・K・ユイスマンス

河出書房新社

本の感想

『さかしま』は、デカダンス文学の金字塔とも言える作品だ。主人公デ・エッサントの退廃的で耽美的な世界観、人工的な美への執着、現実からの逃避願望が、澁澤龍彦氏の名訳によって見事に日本語に移し替えられている。

デ・エッサントの孤独な生活、彼が作り上げた人工的な楽園、そしてその破綻。自然を拒絶し、人工の美を追求する彼の姿勢は、現代の私たちにも深い示唆を与える。澁澤龍彦氏の翻訳は、原文の耽美的な文体を保ちながら、日本語としても美しく響く。

折り紙作品

この本を読んで、デ・エッサントの人工的な美への執着を折り紙で表現してみた。彼が作り上げた人工の楽園のように、紙を折り重ねて新しい形を生み出す。自然を拒絶し、人工の美を追求する彼の姿勢を、幾何学的な折り目に込めてみた。

文字の密度が高い本だったため、折り目に沿って複雑で美しい模様が生まれる。これは、デ・エッサントの耽美的な世界観を彷彿とさせる、この本ならではの美しさだ。